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Creating My Own Path

八戸高専の女性研究者たち

佐伯 彩(総合科学教育科 助教)総合科学教育科 助教
佐伯 彩 Aya Saeki

「自分の知らないヨーロッパを知りたい」。当初のヨーロッパ史への関心は、なんとなく感じたこういう思いでした。幼いころから、親が旅行好きで海外旅行に行っていたこともあり、ヨーロッパへの関心をもちました。大学・大学院では、近現代のヨーロッパ史において問題となっていた「ユダヤ人問題」に興味を持ち研究していたのですが、その過程で、ポーランドに留学する機会を得て、東欧社会への関心が強くなりました。東欧と言えば「旧社会主義圏」であり、「自分の知らないヨーロッパ」だったのです。現在は、近代の中東欧地域における「民族」の形成過程について分析を進めています。

高専では、ヨーロッパを中心とした世界史(「世界史A・B」)や日本史(「日本文化史概論」)、経済史(「産業と経営」)を担当しています。学生の間での「歴史」のイメージは、高校生や世間一般の例にもれず、「歴史」を「暗記」と捉え、苦手意識を持っている人も多いようです。これは、社会科教育が、どうしても知識習得において「用語」理解を重視してきたことに起因します。「歴史」の教育目的は、社会に対する視野を広げ、自分たちにとっての「苦手なもの」や「違和感」を含めた多様性への寛容さを育てることにあります。学生が、今後のキャリアを培ううえで、さまざまな視野を身に着けつつ、多様性への寛容さを自らのうちで育てるお手伝いをしていきたい、と考えています。

My Career

大学卒業後、奈良女子大学大学院に進学しました。修士課程では、東欧のユダヤ人問題を研究し、同大学の博士課程に進みました。ただ、博士課程に進学したものの、「ユダヤ史研究」を進めるかどうか、かなり迷い、心身ともに疲弊していきました。そして、この状況から脱したいと思い留学しようと考えるようになりました。その後、博士課程の3年生から、ポーランド政府奨学金の受給生として、クラクフのヤギェウォ大学の歴史学研究所に2年間留学しました。この留学が私にとって大きなターニングポイントとなりました。留学後期に、研究対象を完全に切り替えて帰国。周囲は困惑していたようですが、自分なりに気持ちを切り替えられたことで、順調に研究を進めることができました。

留学後、博士論文を執筆するかたわら、私立高校での非常勤を3校、博士研究員時代を含めて計5年半ほど経験しました。初等中等教育の難しさに直面し、博士論文の執筆の手を止めそうになりながら、必死に授業をしました。今となっては、大学で教鞭をとる同僚とは異なる経験ができたと感じております。こうした経験を活かしつつ、さまざまな分野で、歴史の面白さを伝えられるよう頑張りたいと考えております。

My Work-Life Balance

オフの日でも、生活習慣を律するようにしています。そのため、オフ日は、必ず部屋の掃除、洗濯物など家事に精を出しています。そして、余った時間で、音楽を聴いたり、本を読んだり、サイクリングしたりなどして仕事と自分を切り離すようにしています。