草刈 明美 Kusakari Akemi [ 修士(文学)]
総合科学教育科 特命准教授
専門分野
- 日本語教育Teaching Japanese
- 第二言語習得Second Language Acquisition
- 応用言語学Applied Linguistics
写真
研究課題
- 評価と指導を動的に両立させる教授法「ダイナミック・アセスメント」
Dynamic Assessment, a teaching method that dynamically balances assessment and instruction - シャドーイングが日本語の聴解力向上に及ぼす効果
Effects of shadowing on Japanese listening comprehension - 理工系留学生を対象とした日本語教育および就活支援
Japanese language education and job hunting support for STEM students - 日本語のリズム・日本語の発音
Japanese language rhythm and pronunciation - 日本人が日本語で外国人とコミュニケーションをするための「やさしい日本語」
“Easy Japanese” for Japanese people to communicate with foreigners in Japanese
研究シーズ
ダイナミック・アセスメント
ダイナミック・アセスメントとは、「何ができるようになったのか」をある時点で評価するのではなく、「今後どのようなことができるようになるのか」に焦点をあて、評価と指導を動的に両立させる教授法のことである。学習者の成長の伸びしろのような部分は、「発達の最近接領域:Zone of Proximal Development」と呼ばれ、特に障がい児教育の分野で注目されてきたが、最近になり第二言語習得研究においても応用されるようになった。個人が持つ能力の評価ではなく、他者との関わりを通した成長を重視する。テスト(評価)とティーチ(指導)がサンドイッチのように層を成す「テスト・ティーチ・テスト」方式を採用し、「介入型」および「相互作用型」アプローチで指導を行った実験では、学習者の文法理解および生成に有効であることが明らかとなった。
シャドーイングを用いた聴解力養成
シャドーイングとは、文字通り影のように、聞き取った音声を自分の声で追いかける口頭トレーニングの方法を指す。最近ではスピーキング能力向上に寄与する可能性も指摘され、注目を集めている。英語による対応が十分な環境は、多くの留学生にとって快適な学生生活を提供できる反面、日本語を使ったインタラクションの機会や日本語学習の必然性を奪う一端も担っている。日本語のインプットが極端に少ないため、コミュニケーションに必要な言語項目が不足しており、聞いても分からず、話したくても言えない現状となる。そこで、聴解テストの度にシャドーイングを4回行い、1回目から6回目までのテスト成績を考察した。その結果、シャドーイングした言語項目を含む割合が高いテストほど、正答率が高いことがわかった。シャドーイングは聴解力養成に効果があったと考えられる。
研究のキーワード
ダイナミック・アセスメント,ZPD,シャドーイング,理工系留学生,やさしい日本語