コース長挨拶
南 將人
八戸工業高等専門学校 環境都市・建築デザインコース長
中学生の皆さんへ
 個人だけではなく人類全体がユーザーになるものづくり
 本コースは、昭和48年(1973年)3月、土木工学科卒業生として第1期生を送り出してきてから今日まで多くの土木技術者、建築技術者を輩出してきました。青森県・岩手県域あるいは東北地域において活躍する卒業生、全国や世界で活躍する卒業生の方々もおります。多くの皆さんが便利で快適に、そして安全・安心に生活できているのは、これらの建設技術者のおかげです。その中に本校の優秀な卒業生たちも携わっています。
 平成7年度、「土木工学科」から環境分野を拡充し「建設環境工学科」へ改組し、それまでも建築分野の科目も学んでいましたが、さらに拡充し、平成27年度には「産業システム工学科 環境都市・建築デザインコース」へ改組いたしました。「環境都市・建築デザインコース」では、3年生まで共通で専門科目を履修し、4年生になると「環境都市デザインコース」と「建築デザインコース」のそれぞれの履修コースに分かれて、より深く専門分野を学習します。
 建設技術者は古くから道路、トンネル、橋梁、ダム、発電所を作り、河川・港湾・まちを整備してきました。すなわち、インフラ整備です。これらは自然環境とのバランスを考えながら建設されています。建設技術者にとってのユーザーは誰なのかと言えば、地域住民であったり、国民の皆さんであったり、人類全体というときもあります。そして、現在、新幹線が本州と北海道を行き来していますが、青函トンネルは当時の建設技術の結晶と言っても過言ではありません。青森県、岩手県内に今も活躍する多くの土木技術の結晶、遺産があります。例えば、むつ市大湊水源地公園にある日本最古の石積みアーチダム、新渡戸稲造の祖父伝、父十次郎が建設に携わった十和田市を通る人工河川稲生川、岩手県達曽部川橋梁宮守川橋梁(釜石線)、国道4号線の青森県と岩手県を結ぶ青岩橋など、古くから建設技術者たちは国民が快適に安全・安心に生活するために奮闘してきました。現在も東京タワーや東京スカイツリー、瀬戸大橋、東京ベイブリッジ、黒四ダムにいたるまで、これからも新たな技術・工法を考え、多くの建造物を作り上げ、整備、維持していくことでしょう。
 「環境都市デザイン」は、自然を相手にして人間が使いやすく安全なものに改造するものづくりです。「建築デザイン」は、その環境都市デザイン分野が構築した人工の環境に、人々が安全で快適に利用出来る空間のものづくりと言っていいでしょう。
 近年、東日本大震災による復興事業、インフラ整備、そして、現在ある多くの社会資本の維持・管理は建設技術者の仕事なのです。今、そのような整備に携わる企業、国、地方公共団体、公益法人等ではまさに人手不足です。多くの優秀な皆さんの入学を教職員一同お待ちしております。そして、教職員一丸となって一人一人を立派な建設技術者の卵として世に送り出します。