癌は熱に弱く42~43℃程度で温められると死滅します。このように熱によって癌を治療する方法をハイパーサーミアと言います。 当研究室では患者さんの体に負担の少ない新しい加温装置や温度計測手法の開発を行っています。
空胴共振器の概略図
患者さんの体に触らず体の中の癌だけを加温可能な装置の開発を行っています。「空胴共振器」と呼ばれる装置の内部に体を挿入し、患部を電磁波によって加温します。
これまでの研究から、加温対象物の深部のみを温められることがわかっています。臨床応用を目指し、コンピュータ・シミュレーションや試作加温装置による実験的検討を行っています。
国内外において広く用いられている加温装置の一つが針状電極加温装置です。この加温装置は直径1 mm程度の電極を患部に刺し、体外電極との間に高周波電流を流して癌を加温します。
針状電極の刺さった箇所が確実に加温できますが、加温できるエリアが狭い欠点があります。
当研究室では加温エリアの拡大やより安全な治療のために新規針状電極加温装置の開発を行っています。
針状電極加温装置の概略図
HIFU治療装置の概略図
HIFU(ハイフ)は高密度の超音波によって腫瘍を焼き切って治療する装置です。患者さんの体を切ることなく治療することができるため、近年高い注目を集めています。
一方、体内で高温・高圧が発生するため、誤った使用方法によって目的以外が温まってしまったり、健常細胞が傷ついてしまう恐れがあります。
当研究室では安心・安全な治療を目指して実験やシミュレーションを通してHIFUに関する様々な検討を行っています。
効果的なハイパーサーミア治療のためには体内の温度分布を計測することが欠かせませんが、患者さんの体にセンサーを刺したりせずに温度計測を行うことは難しいとされています。
当研究室では画像処理やAI(人工知能)を活用して、超音波エコー画像から治療中の体内温度分布を「見える化」する新技術の開発を行っています。
温度計測例
開発したセンサのシミュレーション例
皮膚癌は早期発見した場合の治癒率は高いですが、進行すると生存率が大きく低下します。 しかし初期段階ではホクロに似ていて診断が難しい場合があります。当研究室では癌の早期発見を可能とする新しい診断装置の開発を行っています。