本取組みは、北限の椿の自生地として天然記念物に指定されている「椿山」(夏泊半島)の椿から新たに分離した酵母を「八戸高専 椿山酵母」としてブランド化し、青森県内を中心とした清酒醸造やパン製造などへの利用を通じ、発酵を中心とした地域産業活性化への一助となることを目的とした取組みです。2016年に平内町教育委員会、文化庁の協力のもと椿山の椿から花、枝、葉などの試料を採集し、そこに含まれる醸造に利用されている種類の酵母の分離を試みてきました。遺伝子解析やアルコール発酵力の解析などを行い、発酵食品への利用が可能と判断しブランド化に至りました。きっかけは、本校に入学した学生(現専攻科マテリアル・バイオ工学コース1年、関淑楓さん、㈲関乃井酒造のご息女)が入学時に「発酵について学び、研究したい」という想いを話していたことです。関淑楓さんの実家である㈲関乃井酒造は本州最北端の酒蔵であることから、「北」、「女性」、「青森県特有のもの」などをキーワードに模索し、「椿山」から酵母を分離することに至りました。 関淑楓さんは当研究室にて「椿山酵母の醸造適性の分析」というテーマのもと、種々の分析に取り組み、分析した「椿山酵母」を用いて実家の酒蔵で醸造された日本酒が「ら ら ら」になります。醸造を行うにあたり青森県産業技術センター弘前工業研究所(齋藤知明氏、小倉亮氏)のご協力により製品化となりました。 また今後、パン製造への利用を目指し、平内町やむつ市にあるパン屋にもご協力していただいている状況です。

