2005年度全国大会

大会名称 第25回本田宗一郎杯Hondaエコノパワー燃費競技全国大会
日時 2005年10月1日、2日
場所 栃木県茂木町 ツインリンクもてぎ スーパースピードウエイ
EG号 記録 694.730km/L チーム記録更新
順位 グループW(大学・短大・高専・専門学校クラス) エントリー126台中26位
EG号U 記録 641.708km/L チーム記録更新
順位 グループW(大学・短大・高専・専門学校クラス) エントリー126台中28位

2005年度も前年度に引き続き2台の出走となりました。1998年度に開発して以来改良を繰り返してきたEG号については、前輪支持部をEG号Uと同様のシステムに改良するともに、老朽化が目立っていたGFRP製カウルを、保存してあったメス型から作り直すことにしました。一方、前年度に開発したEG号Uは、全高を下げるため、フロントオーバーハングを延長し、ドライバーの乗車姿勢をより寝かせるようにするともに、それに合わせてペット製カウルも新調することにしました。この他、エンジンの潤滑保温系統の見直しなども行いましたが、前年度に比べると作業工数は大幅に減ったにもかかわらず、マシンの完成は遅れ、またしてもマシンの完成を見ぬまま暑い夏が到来してしまいました。

7月4日、約1年ぶりに八戸港ポートアイランドに出かけていってびっくり。練習場として使わせていただいている広場の一角に何と臨時のヘリコプター発着場が設置されていた。

その後も走行練習を繰り返すが、マシンはまだ開発途上。中途半端なマシンに整備不良も重なって、まともなデータ取りができない。3月に4名もの部員が卒業してしまったため、開発力、整備力ともに大幅に低下してしまったことは否めない。

そして、9月3日。全国大会前最後となった7回目の走行練習。

再製作カウルを身に纏ったEG号は昨年度を大幅に上回る記録を連発した。しかし、夕方になると、またしてもトラブルのため走行不能に陥ってしまった。

一方のEG号Uは、整備不良のため、夕方になるまで走ることができなかった。このため、数少ないデータしか得られなかったものの、記録は前年度のEG号を上回っていた。

2台ともポテンシャルの向上は明らかだが、信頼性は過去3年と比べて桁違いに落ちている。期待と不安を抱えたまま、全国大会を迎えねばならなかった。

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大会前日の9月30日、2時間目まで前期末試験を受験した後、全国大会へと出発。この年は、引率に無理やりお願いして武尾先生が復活。OBのSさんも、八戸駅から同行する。

それにしても、このところ記念写真というと、いつもこんなポーズ。いつからこんなクラブになってしまったんでしょうね。

一昨年、昨年と雨にたたられ、チーム記録更新を逃してきただけに、気になるのは天候。

幸い大会初日は汗ばむ程の陽気に恵まれた。

残る心配の種はトラブル発生のみ。入念に整備が進められる。
2台仲良く並んで車検を受け、無事合格。
続いて、公式練習7周のスタートへ向かう。
スタートを待つ2台のマシン。

まず、EG号Uが快調に発進。

続いてEG号も・・・。

と思いきや、後輪クラッチ機構がONせず、発進できない。手押しで、再スタート調整エリアへ向かう。

再スタートは7年ぶり。悪い予感が当たってしまった!

幸い、ワイヤーを調整し直せば解決できそうだったので、ほっと一安心。ところが、待てども待てども工具係がやってこない。スタートを見届けぬまま、ピットに戻ってしまっていたのだ。

あわてて駆け足で工具を取りに戻る。

何とか再スタート許容時間内に修理を終え、再びスタートエリアへ。

今度はしっかり発進してくれた。ため息が出る。

EG号がもたついている間にも、EG号Uは順調に周回を重ね、ゴールへと向かう。
EG号もだいぶ遅れてゴールに辿り着く。

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公式練習の結果発表。

EG号Uは661km/Lで、実力どおりの結果だった。しかし、EG号は654km/Lと、八戸港での走行練習のデータからすると、納得のいかない記録にとどまった。

とは言え、2002年度に記録した473km/Lのチーム記録を大幅に上回ったことは確かで、気分が悪いわけではない。この夜のOB会は盛り上がった。

そして、迎えた2日目。決勝では3年ぶりとなる好天。顧問の圧力に押されて渋々作らされた照る照る坊主の効果なのか?

二日酔いでつぶれているOB氏らを尻目に、チーム記録更新の夢が膨らむ現役部員たちの整備にも熱がこもる。

第1関門のスタート前チェックも無事通過。
スタート前の燃料微調整。

見つめる部員たちの表情も真剣そのもの。

ところで、先端の蟹のステッカーは何なんでしょうね。トラブル回避の御利益があるとか顧問は言っていたけど、科学技術を学んでいる僕らにはとても理解できません!

そして、いよいよスタートエリアに進む。

この日のために、1年間頑張ってきた。いや、雨のためチーム記録を更新できぬまま卒業していったOB氏らのことを思うと、3年間と言うべきか。

「頼むぞ!」

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部員たち、そしてOB氏らの思いを乗せて、まずEG号が発進。

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EG号Uもそれに続く。

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八戸港での走行練習と違って、多くのマシンと並走する全国大会は、ドライバーにとっては過酷な試練。初日の公式練習後、

「怖かった」

と洩らしていたEG号の新人ドライバーの必死の操縦が続く。

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一方のEG号U。2年目のドライバーだが、売り物の自動停止システムが正常に動作せず、こちらも苦難の運転。

所定の速度に達すると、自動的に吸気バルブ休止機構が動作するはずなのに、ワイヤー調整の狂いからなのか、挙動がおかしい。時間的余裕ができたら、自動停止速度を下げる予定だったが、このトラブルのため、自動停止速度をそのままにして、制限時間内の完走をめざす。

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このため、先にスタートしたEG号をEG号Uが追い越す場面も見られた。

一方、それを目の当たりにした部員たちの間には動揺が広がる。緊張の余り、EG号のストップウォッチ係が、スタート時にスイッチを押すのを忘れてしまったため、EG号が予定どおりのタイムで周回を重ねているのかわからず、トラブルのため、EG号が遅れているものと疑心暗鬼になってしまったためだ。

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最後には、EG号が抜き返して先にゴール。しかし、平均速度25km/hの制限時間をクリアできたのかはわからない。

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しばらくして、EG号Uもゴール。

こちらは許容時間内。

オフィシャルが見守る中、EG号の燃料タンクを外す。

その間にフロント回路の液晶バネルを見たところ、制限時間を約30秒下回っていることがわかり、胸をなでおろす。

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そして、決勝の結果発表。

EG号は実力を発揮してくれて694km/L。

トラブルのあったEG号Uも、ダメージは致命傷には到らず、前日よりはややダウンしたものの641km/Lを記録した。

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2台揃ってのチーム記録大幅更新に、OB氏らを交えての記念撮影でも笑顔がにじむ。

ちなみに応援に来て下さったOB氏は13名。こちらもチーム記録更新だった。

八戸港での走行練習のデータからすれば、一昨年、昨年もチーム記録を更新してもおかしくないはずでした。しかし、雨のため、それを果たすことはできませんでした。それだけに、この年の春卒業したOB氏4名が全員駆けつけて下さった中で、チーム記録を約220km/Lも更新できたことは大きな喜びでした。3年間の努力が報われたのです。

走行練習時、そして大会時に御協力いただいたOBの皆さん、本当にありがとうございました。