2004年度全国大会

大会名称 第24回本田宗一郎杯Hondaエコノパワー燃費競技全国大会
日時 2004年10月2日、3日
場所 栃木県茂木町 ツインリンクもてぎ スーパースピードウエイ
EG号 記録 リタイア
順位  
EG号U 記録 404.864km/L
順位 グループW(大学・短大・高専・専門学校クラス) エントリー128台中27位

2004年度はEG号の改良と、6年ぶりのニューマシンとなるEG号Uの開発に取り組みました。EG号の改良は、駆動系統及びシャシ後部、総合電子制御回路、潤滑系統などを全面的に改良する大規模なものでしたが、予定より遅れたとはいえ、6月24日に校内試運転にこぎつけることができました。しかし、その頃EG号Uは設計の途上で、一部の部品の製作を開始したばかりでした・・・。

EG号の八戸港ポートアイランドにおける初の走行練習は7月5日。その後、7月27日、30日と練習を繰り返す中で、練習場における従来の記録を次々に更新。懸案の希薄燃焼にも成功し、あとはそのセッティングを詰めるだけと思われたが、何と練習場のポートアイランドが総合防災訓練のため8月中は使えないことがわかり愕然。結局、煮詰め不足で全国大会を迎えねばならなかった。

一方EG号Uは、EG号の大規模改修と並行して開発が進められたため、完成は遅れに遅れた。しかも、試運転予定日の前日になって、行方不明のエンジン部品が多々あることが判明して、急遽EG号のエンジンを載せ換えることになった。エンジン屋さんの部品管理の悪さは毎度のことだが、このドタバタぶりには、さすがに言葉も出ない。

結局、深夜0時まで作業を行って、何とかマシンは組み上がったが、こんな整備状況で大丈夫なのかと不安がよぎる。

そしていよいよ9月4日。OBのSさんのご協力のもと、待ちに待った初の試運転。幸い大きなトラブルはなく、強度的にも問題なさそうだったのでひと安心。

翌週も、エンジンを組み立てたり、ペット製暫定カウルをつけるなど突貫作業の連続。最後の走行練習となった9月11日にぎりぎり間に合わせたが、トラブルの連続。朝9時半に練習場に着いたのに、まともに走れるようになったのは午後3時半過ぎ。慣らし運転不足のためか、エンジンの吹けあがりは悪かったものの、記録は予想よりも良かった。それだけに、トラブル対策の成果を確認するためにも、もう1日練習をしたかった・・・。

なお、この日の試運転も、OBのYさんがトラックを出して下ったおかげだった。ありがとうございました。

そしていよいよ大会前日。この年は、大会が前期末試験とぶつからなかったため、大会遠征に参加する部員は15名とほぼ倍増。新幹線班の他に、久しぶりに高速バス班も復活して、それぞれ大会会場に向けて出発。

ところで、前列右から2人目のT君は、片目をつぶってうつむき加減の怖い顔。このページの一番下の記念写真でもそうなのですが、どうしてなんでしょうね?

大会初日は秋空が広がる絶好のコンディション。

美しく映えるスタンドを見上げながら、この素晴らしいコースで自分たちのマシンを走らせることができる喜びを改めて噛み締める。

テントを立てると、さっそく整備開始。整然と作業が進められ、以前の半分程度の所要時間でエンジン始動にこぎつける。その様子にOB氏も感嘆。

「整備力はずいぶん良くなりましたね」

フロント回路の液晶パネルに表示される回転数と油温を確認しながら、暖機運転が続く。
車検に出発。
好天に恵まれ、整備も順調に進んだことから、車検を待つ間にも笑顔がのぞく。
まず、ニューマシンのEG号Uが車検に合格。
続いて本命のEG号。整備上のケアレスミスが原因で、ブレーキテストでは少々ヒヤリとさせられたが、車検は無事合格。
車検を終えピットに戻ると、茂木とは思えぬ汗ばむ陽気に、大会事務局から支給されたシャツに着替えてポーズ。
車検でヒヤリとしたブレーキレバーの整備も済ませて、再び公式練習へ出発。
そして、スタート。

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EG号は、スタート直後に停止車両を避けるためブレーキをかけるハプニングがあったものの、その後は順調に周回を重ねていく。

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EG号Uも快調だったが、4周目の途中で制御回路のトラブルでリタイア。

十分に練習走行を行っていれば事前に解決できたはずのトラブルだったが、幸い簡単に対処できる類のものだったため、ほっとひと安心。

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完走したEG号は、2年前に決勝で記録した473km/Lを上回る600km/Lをマーク。グループW(大学・短大・高専・専門学校クラス)でエントリー128台中18位。

沸き立つ部員たちをよそに、顧問は贅沢にも、

「八戸港での走行練習の記録からすれば、こんな記録では満足できない」

と豪語。

実際、エンジンを分解してみると、ピストンがオイルで汚れていた。

前年度の大会で同様の現象が見られて以来、対策を重ねてきたのに・・・。

自動車会社に勤めるOB氏にもアドバイスを請うが、結局原因不明。
そんな中、OB会員有志の招待で茂木に来ていただいた前実習工場長で、この春定年退官された鈴木誠逸さんは久しぶりに顔を合わせたOB氏と話が弾む。

「いいところだね。話には聞いていたけど、実際に来てみないと、この良さはわからないね」

鈴木さんが楽しんで下さっている様子に、OB各氏も安堵。

長い間、本当にありがとうございました。

その夜、鈴木さんを交えて楽しい懇親会を過ごしているうちに天候は一変。雨が降り止まないまま、大会2日目の朝を迎える。

顧問が初日に贅沢なことを口走っていたことに天罰が下ったためとも思われたが、その顧問は、

「去年から、照る照る坊主を作れってあれほど言ってきたのに、作らないからこんな天気になるんだ」

と責任転嫁。

そんな非科学的な顧問の言葉を封殺して、早朝から雨対策が続く。
決勝を控えたスタート前待機エリア。

雨が降り止む気配はない。

EG号に続いて、EG号Uもスタート。サインエリアで見守る中、EG号は1周はしたものの、再び姿を現すことはなかった。リタイアは確実だったが、原因は何なのか、ドライバーは無事なのか、不安は尽きない。

その一方、EG号Uは何とか周回を続けた。

 

そして、EG号Uはゴール。
ドライバーは新人。しかも、ろくに走行練習をさせてあげられなかっただけに、この雨の中完走してくれたことに、ただひたすら感謝するのみだった。

「本当にご苦労様」

結果は404km/Lで27位。走行練習の記録からすれば、この雨の中でのこの記録は、実力どおりの力を発揮したものと言えた。

ピットに戻ると、リタイアしたEG号が回収されてきていた。
ドライバーによれば、キャノピーが曇って視界不良となったため、いったん停止して、空気を入れようとアッパーカウルを持ち上げたところ、燃料タンクが根元から折れてしまったということだった。

整備力は過去最高のチームだったのに、走行練習が好天に恵まれすぎたため、雨対策に手抜かりが生じてしまったことが原因だった。

初出場以来、どんなトラブルがあろうと完走を続けてきた連続完走記録は11年で途切れてしまった・・・。

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チーム記録更新を確信しながら、それを果たせなかった沈痛な空気が支配する中、撤収を終えると、OB各氏と鈴木さんを交えて記念写真。

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さらに、この大会をもって引退する5年生4名と顧問が記念写真。

右端は、2年間ドライバーを務めてくれたN君。製作が難しい部品となると出番となった名職人でもありました。

2人目は駆動系統、制動系統、電装系統担当のT君。わが部の技術水準を飛躍的に引き上げてくれた大功労者ですが、脈絡のない話しっぷりには定評があり、彼と顧問が繰り広げる珍妙な会話には、部員一同呆れるばかりでした。

3人目は操舵系統及びカウル担当で、2年間部長を務めてくれたN君。温厚な人柄と、率先垂範の姿勢で部内をまとめ上げてくれた名部長であり、設計に製作に、何でもこなしてくれた得難い人材でした。

4人目はエンジン担当のT君。部品を壊したり、なくしたりするのも得意でしたが、抜群の指導力でエンジンの整備力を過去最高の水準にまで押し上げてくれました。ただし、その抜群の指導力ゆえ、後輩たちを変な方向に導いてしまったことは否めませんが・・・。

我が部は、2001年度には、エコラン挑戦もこれが最後になるかもしれないという程の危機にありました。しかしそれが、2004年度には、我が部にとってほぼあらゆる点で過去最高のチームに生まれ変わっていました。その中核となってきた4名の5年生は、部内を活性化させ、技術力を大幅にアップさせてくれた大功労者でした。それだけに、彼らの最後の年に、、チーム記録更新という最大の目標を成就できなかったことは、大きな悔いを残しました。しかしそれゆえに、彼らが残してくれたマシンを熟成させ、次年度こそはマシンの真価を証明しようという強い思いを胸に茂木を後にしたのでした。

大会時、そして走行練習時にご協力いただいたOBの皆さん、ありがとうございました。